突然ですが、和封筒と洋封筒と聞き、どのような封筒を思い浮かべるでしょうか。
どちらも同じ封筒ですが、見た目や用途、適した使い方等、全く異なる点も多く存在します。
食事や服に和と洋が存在するように、封筒にも和と洋の区別があり、相違点を知らないとマナー違反を犯してしまう危険性もあります。
本記事では、いざという時に正しい封筒の使い分けができるよう、和封筒と洋封筒の特徴やマナーについて解説していきます。
和封筒と洋封筒の違いって何?
まず、和封筒と洋封筒の成り立ちを紹介していきます。
和封筒
和封筒は主に縦書きで使われる縦長の形をした封筒で、その起源は平安時代まで遡ります。
中国から紙が伝わった後、貴族の文化として封筒の祖先と言われている「懸紙(かけがみ)」が生まれましたが、この頃は現在のような筒状ではなく、紙の上から更に紙をくるむことで封筒の役割をしていました。
現在のような形の封筒が現れたのは、江戸時代に西洋の郵便制度改革を手本とした郵便制度がスタートした頃からで、江戸の町人文化として派手な封筒が流行し、次第に現在の形に進化してきました。
このように、日本では古くから封筒が存在し文化の一部を担ってきたことから、当時から使われていた縦書きの封筒を和封筒と呼んでいます。
和封筒は縦書きの封筒全てを指す言葉ですが、現在よく利用される呼称はサイズによって異なります。
例えば、よく利用されるサイズには長形封筒(長辺が短辺の2倍以上)や角形封筒(長形よりも正方形に近い)がありますが、どちらも和封筒の一種です。
また、和封筒の場合も横書きとして利用することは可能です。
洋封筒
洋封筒は主に横書きで使われる横長の形をした封筒で、和封筒よりも更に古くから存在します。
その起源は紀元前2,000年のこと、古代バビロニアという国で誕生しましたが、当時は「粘土」で粘土板等をくるむことで、封筒の役割を担っていました。
ヨーロッパに紙が伝わったのは日本よりも遅く、紙の封筒が広く流通し始めたのは、19世紀のイギリスで郵便制度改革が行われたことが理由です。
その後、西洋スタイルの横書き封筒として、日本に伝わったため、洋封筒と呼ばれています。
和封筒と洋封筒は、年代も場所も全く異なる歴史を持つ文化ですが、今のような紙の封筒として広く流通したのは、どちらも同じ郵便制度改革からです。
和封筒と洋封筒の使い分け方
同じ時期に広まり、長く利用されてきた和封筒・洋封筒ですが、両者の間には明確な相違点があるため、上手に使い分ける必要があります。
ここでは、様々な視点から封筒の使い分けを紹介していきます。
場面による使い分け
和封筒 | フォーマル |
洋封筒 | カジュアル |
日本では一般的に和封筒が好まれます。
かしこまった場面では縦書きが利用されており、封筒の宛名でも同じ考え方がされるためです。
目的による使い分け
和封筒 | 目上の人への手紙、企業間のやり取り |
洋封筒 | 親しい人への手紙、私的なやり取りなど |
カジュアルな要素が強い洋封筒は、企業間のやり取りの際には好ましくありません。
企業間でパーティの招待を行う等特別な状況を除き、基本的には和封筒を利用することを推奨します。
封入物による使い分け
和封筒 | 請求書・フォーマルな手紙 |
洋封筒 | 招待状・メッセージカード |
洋封筒が多く使われるのは、招待状やメッセージカードを送る時です。
封筒自体をアレンジする等おしゃれな雰囲気を持たせることができます。
郵送料による使い分け
基本的に、和封筒と洋封筒の間で郵送料の差はありません。
郵送料はサイズや重量により決定されるため、目的や場面によって使い分けることが望ましいと言えます。
ここで、数ある和封筒・洋封筒の規格の中でもよく利用される代表的なサイズと基本手な封入物を紹介します。
■ 和封筒
名称 | 読み方 | サイズ | 封入例 | |
長形3号 | ながさん | 120×235 | A4 3つ折り | 請求書・手紙・その他書類 |
角形2号 | かくに | 240×332 | A4 そのまま | 請求書・資料など |
■ 洋封筒
名称 | 読み方 | サイズ | 封入例 | |
洋形2号 | ように | 162×114 | ハガキ そのまま | 招待状・ハガキ |
洋長形3号 | ようながさん | 235×120 | A4 3つ折り | 請求書・手紙・その他書類 |
和封筒・洋封筒の宛先の書き方
基本的に和封筒は縦書き、洋封筒は横書きで利用されますが、必要がある時はその反対の使い方をすることもできます。
ここではオーソドックスな宛先の書き方と、その反対の書き方を紹介します。
■ 和封筒
一般的な封筒の書き方のため説明するまでもありませんが、右端に宛先住所、中央に宛名、右上に郵便番号を記載し、左上に切手を貼付します。郵便番号の枠がない場合も、右上に郵便番号を記載する点は同じです。
住所の数字は、漢数字で記載しましょう。
和封筒に横書きする場合は、フタが右側に来るように倒し中央部分に住所、宛名を記載します。
郵便番号の枠がある場合は縦書きの時と同じ向きで記載し、枠が無いときは住所の上に記載しましょう。数字は全て算用数字を使用し、切手は右上に貼付します。
■ 洋封筒
洋封筒の横書きは、一般的な書き方をすれば良いため、中央部分に住所・宛名を、郵便番号は、枠がある場合は枠内に、ない場合は住所の上に記載します。
切手は右上に貼付しましょう。
洋封筒に縦書きする場合は、封筒を縦にして記載していきます。
不祝儀は縦書きにすることが多く、左側に開封口が来るように書きましょう。
不祝儀以外の通常時は右側に開封口が来るように置き、裏面の左端に差出人を記載します。
更に細かい封筒の種類と選び方
封筒を大別する和と洋の違いを紹介してきましたが、封筒の種類は様々な視点から分けることが出来ます。
封筒印刷製作所ではオリジナル封筒作成の際、様々なオプションを追加することが可能で、下記のような封筒の種類からお好みに合わせて作成できますので、まずはお気軽にご相談してみてください。
カラー
封筒には様々な色の物がありますが、大きく3パターンに分けることができます。
①白
白封筒は一番オーソドックスな色でフォーマルな印象を持つため、どんな場面でも利用できます。
和封筒・洋封筒のどちらにも相性がよく、汎用性の高いカラーです。
②茶(クラフト紙)
茶封筒は事務的な文書やビジネス用途で利用されることが多く、請求書や領収書を封入する際に適しているため、和封筒との相性がいいカラーです。
社内外問わず利用することが出来ますが、ブランドロゴなどを載せる際には少々目立ちにくくなってしまう可能性があります。
③その他の色・柄入り
色付きや柄が入っている封筒は、カジュアルな要素が強く、華やかさや個性、遊び心を表現することができるため、洋封筒との相性が良いカラーです。
ただ、カジュアルさ故に、ブランドイメージカラー以外で使用する場合には、親しい人への利用に留めると良いでしょう。
貼り合わせ
封筒の貼り合わせ方によっても封筒を区別することが可能で、大きく分けて和・洋それぞれ3パターンあります。
和封筒
①センター貼り
センター貼りとは、封筒裏面の中心に貼り合わせがある封筒で、和封筒の中で最もスタンダードな貼り方です。
紙が二重になる部分が中心にくるためバランスが良く保管時に安定するだけでなく、封入の際に引っかかりにくいため作業性の良い封筒として人気があります。
②内サイド貼り
内サイド貼りとは、封筒裏面の右か左に貼り合わせが寄っている封筒のうち、のりしろ部分が封筒内に隠れる貼り方です。
宛名記入の際に段差がなく書きやすいだけでなく、封筒への印刷がきれいに仕上がるというメリットもあります。
③外サイド貼り
外サイド貼りとは、②と同じ位置に貼り合わせがあり、のりしろ部分が封筒の外に露出する貼り方です。
②のメリットに加え、封入時に引っかかりがないため機械封入に強いですが、見栄えが悪くなるデメリットもあります。
洋封筒
①カマス内貼り
カマス内貼りとは、封筒裏面の左右両側に貼り合わせがあり、のりしろ部分を封筒内に隠す貼り方です。
ビジネス利用時の封筒としてオーソドックスな貼り合わせとされており、印刷・記入がしやすい点や、封入口が広いことから機械封入しやすい点が人気です。
②カマス外貼り
カマス外貼りとは、①と同じ部分に貼り合わせがあり、のりしろ部分が外側に露出している貼り方です。
①のメリットに加えて機械封入に強い封筒ですが、見栄えが悪いことがデメリットとなります。
③ダイヤモンド貼り
ダイヤモンド貼りとは、フタが三角形になっており、のりしろが斜めに施されている貼り方です。
スマホ等のメールアプリのアイコンにもなっており、招待状や挨拶状等、フォーマルな用途に最適な封筒です。
二重か一重か
封筒には、二重になっているものとそうでないものがありますが、その用途を理解していないと思わぬマナー違反を犯してしまうことあるため注意しましょう。
二重封筒は正式な手紙を封入する際に利用され、あらたまった印象を表現することができます。
お祝い状やお礼状にも利用しますが、決して不幸の際には利用しないようにしましょう。
「不幸が重なる」という意味合いを持ってしまうため、マナー違反となります。
口糊加工の方法
口糊加工とは、フタを糊付けする際に便利なフタ部分への加工のことを指し、その加工法によって、4種類に分けることが出来ます。
①両面テープ加工
両面テープ加工とはその名の通り、糊付けのためにフタ部分にあらかじめ両面テープを張っておく加工法です。
剥離紙を剥がすことで封緘します。粘着力に期待でき、接着効果の効果期間は約6か月~1年程度と、長期保存にも適しています。
②グラシンテープ加工
グラシンテープ加工とは、フタか胴体のどちらかに糊加工を施し、その上から剥離紙をかぶせておく加工法です。
剥離紙が糊面積よりも大きくなるため、剥がしやすいという利点があり、①と同じく半年~1年の長期保存も可能です。
③アドヘア加工
アドヘア加工とは、フタと胴体部分の両方にゴム系の接着剤を塗り乾燥させておく加工法です。
保存期間は約3か月~6か月程度と長期保存には向きませんが、フタを締め糊部分を合わせて抑えるだけで接着できるため、封緘作業の効率化ごみの削減が叶います。
④アラビア糊加工
アラビア糊加工とは、フタにアラビア糊を塗り、乾燥させておく加工方法です。
アラビア糊は一度乾いても、濡れると粘着性が復活するため、切手のように加工部分を濡らすことで接着が可能になります。
主に洋形封筒に多く利用されています。
窓付封筒の窓の素材
窓付封筒とは、封入物に記載された宛先を露出させることで、封筒への宛名の記入や印字、宛名シールの貼付を省くことが出来る封筒です。
業務効率化はもちろんのこと、宛名の誤記入や封入物の入れ間違え等のリスクを削減することにも繋がります。
窓付き封筒は、窓の素材によって5種類に分類されています。
①セロ窓封筒
セロ窓封筒とは、透明度の高いフィルムを利用した窓付封筒で、最も内容物が見やすくなっています。
しかし、環境面への配慮や封入時の引っ掛かりを考慮すると懸念点も多いと言えます。
②グラシン窓封筒
グラシン窓封筒とは、半透明の薄い紙であるグラシン紙を利用した窓付封筒です。
セロ窓封筒に比べて透明度は劣るものの、環境面への配慮をアピールできるため、DM等によく使われます。
③ワックス窓封筒
ワックス窓封筒とは、特殊樹脂を浸透させることで、封筒の一部を半透明に加工した窓付封筒です。
窓部分に穴が開いておらず、封入作業が楽になる他、環境面への配慮もアピールできます。
④オープン窓封筒
オープン窓とは、窓を切り抜いたまま何も貼らない封筒です。
郵送の際は利用できませんが、手渡しの際などに利用されることがあります。
⑤生分解窓封筒
生分解窓封筒とは、窓部分のフィルムに植物由来の素材を利用した窓付封筒です。
窓部分も微生物等により分解出来るため、エコ重視の封筒となっています。
再生紙利用の封筒と組み合わせることで、環境面への配慮をよりアピールすることに繋がるでしょう。
以上が、様々な角度から見た封筒の種類です。
封筒印刷製作所では、上記のような特徴を持った封筒だけでなく、お好みに合わせた封筒作りの相談が可能です。
封筒はイメージ戦略や経費削減、業務効率化等あらゆる観点から企業の業績向上に貢献するため、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
和封筒・洋封筒だけでなく、様々な種類の封筒を使い分けることで、企業の営業活動にも幅が生まれるため、何気なく使っている封筒も、用途や状況によって使い分けることが大切です。
封筒はお客様との接点を担う重要な役割を持っているため、一度自社の封筒を見直してみてはいかがでしょうか。