突然ですが、皆様はお中元・お歳暮のやり取りを長年続けている取引先などはありますでしょうか?
お中元やお歳暮の贈り合いは一旦始めてしまうとやめづらいもので、関係性が疎遠になってしまった場合には、相手にも気を使わせてしまっている場合も。
そこで今回は失礼にならずかつスムーズにお中元・お歳暮を断る方法をご紹介させて頂きます。是非本記事をご参考に、送り先の再編を行ってみてください。
お中元・お歳暮を断るのは失礼にあたるのか?
結論から申し上げますと、関係性が疎遠になってしまった相手にお中元やお歳暮の断りを入れるのは、マナー上問題はございません。
むしろ相手方もお中元のやり取りを辞めるキッカケを探している場合は、失礼というよりもホッとされることもあると思われます。
ただ、一方的に断ったり、理由も述べず突き放すのでは、相手にも不快な思いをさせてしまうので、相手の厚意へのお礼や理由等をしっかりと伝えた上でお断りするようにしましょう。
お中元やお歳暮の贈り合いがなくなった後も、良好な関係が続く事が最も大切です。
そのためこの記事では、相手との関係を壊さないまま、お中元やお歳暮でのやり取りのみを断ることを目標として、注意点やお断りのタイミング、方法/伝え方をご紹介していきます。
お中元・お歳暮の送り先をみなしことで、コスト削減や業務効率化というメリットだけでなく、今までの取引先との今後の付き合い方を考えるきっかけにもなるので、是非送付リストを見直してみるとよいでしょう。
また、お歳暮やお中元について、詳細なマナーや方法については以下の記事にて特集しているので、併せてご覧ください。
断り方は相手との関係性・タイミング等によって異なる
相手との関係性を壊さないために、ポイントとなってくるのは主に以下の3つです。
この記事では、それぞれのポイントでの選択肢をご紹介していきます。
3つのポイントを組み合わせることで、基本を押さえ、相手に失礼のない断り方ができるようになりますので、是非しっかりと読み込んでみて下さい。
ただ、状況によって最適なパターンが変わることがあるため、置かれている状況や相手との距離感を把握した上で組み合わせることをオススメします。
(1)断るタイミング
それでは、まずは断るタイミングから見ていきましょう。
次回から辞めたい場合
お中元・お歳暮のやり取りを辞めるタイミングの中で、最もスマートかつ一般的なタイミングは「次回から辞退」の意思を示すことです。
事前に意思を伝えておくことで、所謂「ドタキャン」状態にはならないため、相手から見ても、物品発注の計画等を立てやすいというメリットがあります。
今回から辞めたい場合
急ぎ今回からやり取りを辞めたい場合には注意が必要です。
何故ならば、「次回から辞退する場合」と異なり、既に相手方が贈り物を用意してしまっている可能性が十分にあるためです。
可能であれば事前にお断りを入れておく方が印象は良いですが、やむを得ない事情がある場合には、しっかりと理由を説明した上で、お詫びの気持ちを伝えるようにしましょう。
また、手紙での連絡は、一方的に辞退を通告するようになってしまうため、急ぎの場合には避けた方が良いでしょう。
徐々に(フェードアウト式に)辞めたい場合
直接的にお断りの意向を伝えるのは気が引けるという方は、徐々にフェードアウトできるよう計画を立てましょう。
お歳暮やお中元における「フェードアウト」の方法は以下の通りです。
(2)お中元を辞退する
(3)お歳暮の頻度や金額を下げる
(4)お歳暮を辞退する
お歳暮を突然辞退するのと比較してみると、相手も徐々にこちらの意向を汲み取る可能性が高いため、驚かせてしまう心配は少なくなります。
また、この方法のポイントは、お中元を先に調整していくところにあります。
お歳暮は一年間の感謝の気持ちを伝えるという位置づけのため、基本的にまずはお中元から調整を行うようにしましょう。
お中元のやり取りがなく、お歳暮のみの場合は(3)からのスタートでも問題ありません。
Tips:グレードを下げて関係性を継続させてもOK
先代からの長い付き合いがあり、やり取り自体を辞退できない場合には、お中元やお歳暮の贈り合い自体は継続させるものの、一回当たりの金額を下げ、負担を減らすことも有効的です。
但し、ずるずるとお中元やお歳暮を続けるのではなく、正式にお中元・お歳暮のやり取りを辞退した上で、「お年賀」や「お土産」という名目に形を変えて実施するようにしましょう。
名目が「お中元」や「お歳暮」だと、「気が付いたら元の金額帯に戻っていた…」という事態にもなりかねません。
双方合意の下、形を変えて関係性を続けていく方がお互いの負担も少なくなるため、
「お歳暮ではなくお年賀にしませんか?」という意向を提案してみることをオススメします。
(2)断る手段
それでは、具体的に断る際の方法について見ていきましょう。
お礼状で断る場合
オーソドックスな手段の1つとしてお礼状による辞退があります。
お礼状の中に、「今後はお気遣いないように」と一言加えることで、相手にも辞退の意向が伝わります。
上記のコメントだけでは、「もう関係性を断ち切りたい」というような解釈をされてしまう可能性を孕んでいるため、「引き続き変わらぬお付き合いをさせていただきたい」と添えることをオススメします。
コチラを付け添えることで相手の厚意への感謝や、今後も変わらず付き合って欲しいという気持ちも併せて伝えることが出来ます。
ビジネスでのやり取りとなる場合には、基本的には 必須で盛り込むべき内容となるので、特別な事情がない限りは付け加えるようにしましょう。
「次回から辞退」や、「フェードアウト」、「名目の変更」といった、色々なタイミングで利用することになるため、汎用性の高い手段と言えます。
電話で断る場合
お礼状と同じくオーソドックスな辞退表明の1つです。
お礼状のみでは一方的に断りを入れる印象を与えてしまうため、より相手を気遣いたい際には電話にて話をする必要があります。
伝えるべき内容はお礼状と変わりませんが、相手とコミュニケーションを取りながら話ができるので、贈り合いを辞退する理由等を齟齬なく伝えることが可能になります。
ただ、電話だけだと記録に残らず、相手も忘れてしまう可能性があるため、電話にて話をした後、メールや文書を送付し確認を行うことが望ましいです。
こちらもお礼状と同じく汎用性の高い辞退表明手段ですが、実際にはお礼状と併せて利用することが望ましいです。
相手とのコミュニケーションをうまく取りながら、電話で先に意向を伝え、お礼状で念押しをするという進め方がオススメです。
同等もしくは倍以上の品物を送る場合
直接的に辞退を申し出ることをせずとも、暗黙の了解として相手に察してもらうことで、贈り合いを止めることができます。
相手から頂戴した品の「同等か倍以上の金額の品を送付すること」が、辞退の意向を示すメッセージとなります。
次回からの辞退を考えている場合には非常に有効な手段ですが、相手がそのメッセージに気が付かないリスクもあり得るため、注意が必要です。
断り状と一緒に送付する場合
「いただいた品物をそのまま送り返す」という方法の断り方です。
直接対面でいただく場合はその場でお断りができますが、宅配便等で送られてきた際は返送で送り返す選択肢もあります。
しかしこの時、宅配便で届いたものを受け取らず、そのまま送り返すことはマナー上でも絶対にNGなので気を付けましょう。
そうすると、相手に返送された際、「受取拒否」の朱印が押されてしまう可能性があるため、相手にとっては印象が悪く、良好な関係性を続けるどころか、それを機に関係が疎遠になってしまうことも考えられます。
届いた品は一度受取り、開封せずに上から新しい包装を施し、お礼状を添えた上で相手に発送します。
返送された相手がそのまま他の方に郵送できるよう配慮してあげる方が、好印象を与えますね。
この時に添えるお礼状の内容は、前述の「お礼状での断り方」に記載した内容と変わりありません。
(3)伝え方:お中元・お歳暮を断る例文
最後に、上記の様々なタイミングにおいて、手紙を使って辞退する場合の実際の文例を紹介していきます。
次回からのお歳暮を辞退する場合(ビジネス編)
初冬の候
貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたびは、結構なお品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
このようなお心遣いをいただき、恐縮いたしております。
お心遣い、誠にありがたく存じますが、弊社ではお取引先様からのご贈答品は辞退させていただく規定がございます。
今回に関しましては、ありがたく頂戴させていただきますが、今後はお気遣いなさいませんように、お願い申し上げます。
なお、今後とも相変わりませぬお付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら皆様のご健康をお祈り申し上げます。
次回からのお中元を辞退する場合(個人編)
拝啓
日ごとに暑さが増してきましたが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
さて、この度はお中元の品を頂戴しまして、誠にありがとうございます。
いつも何かとお心にかけていただきまして感謝申し上げます。
日ごろご無沙汰ばかりで何のお役にも立てませんのに恐縮しております。
○○様のご厚意はいつも大変ありがたく存じますが、今後はどうかこのようなお気遣いなさらないようにお願い申し上げます。
あたたかなお心遣いに対し、堅苦しいことを申しますようで誠に心苦しい限りではございますが、今後も末永くお付き合いのほど、お願い申し上げます。
略儀ながら、書面をもって、お礼とお詫び申し上げます。
時節柄、ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
敬具
今回からお歳暮を辞退する場合=返送する場合(ビジネス編)
拝啓
月迫の候、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は私宛にお歳暮品をお送りいただき、ありがたく存じます。
ご好意は大変ありがたく存じますが、私の立場上お受けすることができず、誠に申し訳なく思っております。
つきましては、甚だ失礼とは存じますが、送られましたお品はご返送させていただきますので、何卒ご理解いただきたく存じます。
末筆となりましたが、貴社一層のご繁栄と皆様のご健康をお祈りし、お礼とお願いを申し上げます 。
敬具
今回からお中元を辞退する場合=返送する場合(個人編)
拝啓
盛夏の候、ますますご清祥のことと心よりお喜び申し上げます。
この度は、お心尽くしのお中元の品をお贈りいただき、ありがとうございます。
ご厚意を頂きながら心苦しいのですが、ご贈答は辞退させていただいております。
何卒、ご理解のほど宜しくお願いします。
いただきました品はお気持ちだけ頂戴しまして、甚だ失礼とは存じますが、ご返送させていただきました。
今後はどうかお気遣いをなされませぬように、お願い申し上げます。
誠に勝手なことでありますが、どうかお気を悪くなさらないでくださいませ。
まずは、お礼かたがたお詫び申し上げます。
敬具
まとめ
相手からの厚意をお断りすることは非常に胸が痛み、失礼に当たってしまうのではないかと不安になりますよね。
しかしながら、相手を思いやる姿勢を見せた上でお断りすることは決して失礼には当たりません。
形式的になってしまっている相手とのお歳暮は、両者の負担になり続けます。
今では電話やインターネットを通して頻繁に連絡を取り合うことができるので、年に一回の贈答品ではなく、日頃から感謝の機の地を伝えるようにしてみても良いのではないでしょうか。