突然ですが、皆さんは雇用契約書を郵送する際の注意点やマナーをご存じでしょうか?
契約書の作成に気をとられて、つい疎かにしてしまいがちな契約書の郵送には、注意が必要です。
そこで今回は契約書を作成する際の適切な送付方法、送付する契約書への押印・割印・契印などの仕方、印紙扱い、封筒の切手や宛名、および送付状の作成方法などすべてをご紹介していきます。
雇用契約書はどうやって郵送すべき?
雇用契約書を郵送する際の注意点についてご紹介していきます。
雇用契約書は、信書に該当し、郵便法に違反すると、最大で3年以下の懲役又は300万円以下の罰金刑を科せられてしまう可能性があります。
「信書」とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことを指します(郵便法第4条第2項及び民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第1)。
郵便法では発送できる方法も規定しておりますので、信書が扱える以下配送サービスを利用しましょう。
第二種郵便(はがき)
レターパック プラス
レターパック ライト
スマートレター
EMS (Express Mail Service:国際スピード便)
ミニレター
信書郵便の際には、確実に相手の手元に届ける必要があるため、追跡機能が付いており、手渡し配送がなされる「書留サービス」を付けるようにしましょう。
書留サービスには「配達証明郵便(一般書留)」と「簡易書留」の2タイプありますが、どちらで出せばよいかをご紹介いたします。
どちらで送付すべきなのか?
上述の多り、書留サービスには、「配達証明郵便(一般書留)」と「簡易書留」の2タイプありますが、その違いは賠償額と追跡機能のみなので、雇用契約書輸送時は簡易書留で十分です。
書留料金の比較 | |
一般書留 | 基本料金+435円 (損害要償額10万円まで)さらに5万円ごとに+21円(上限500万円) |
簡易書留 | 基本料金+320円 (損害要償額5万円まで) |
ポストに投函されっぱなしになるリスクや第3者に盗みとられるリスクを最小化するためにも、是非有効活用していきましょう。
また、雇用契約書をはじめとした契約書等は「基本的に折らない」ため、郵送する際には定形外郵便である角2型封筒を利用するとよいです。
郵送・発送時には郵送先の相手に「契約書を書留郵便で送りました」と一本連絡を入れると確実に受け取ってもらうことができるため、一報入れるようにしましょう。
雇用契約書を郵送する際の注意点
郵送方法を確定したら、郵送の際の注意点やマナーについてしっかりと見ていきましょう。
雇用契約書を郵送する際には、以下の3点を意識していくとよいです。
(1)返送用封筒を同封しよう
雇用契約書などの契約書は、一方的に送付するのではなく、双方の合意(=被雇用者の押印)を獲得するためにも返送してもらう必要があります。
その為、郵送する封筒の中に「返送用封筒」を同封するようにしましょう。
事前に返送先の住所を記載し、返送に必要な切手まで貼っておくと親切ですので、その代金については以下を参考にしてみてください。
封筒タイプ | 内容物 | 切手代金 | (参考)想定重量 |
長形3号
|
契約書:2枚 + 返送用封筒 | 84円 | 25g程度 |
契約書:4枚以上 + 返送用封筒 | 94円 | 50g以上 | |
角形2号
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契約書:2枚 + 返送用封筒 | 120円 | 25g程度 |
契約書:4枚以上 + 返送用封筒 | 140~210円 | 50g以上 |
(2)送付状を同封しよう
後ほど詳細に説明いたしますが、雇用契約書を郵送する際には、内容物や依頼を明確に記載した送付状を同封するようにしましょう。
送付状を入れなかったために、以下のようなミスが発生してもお互いが認知できなかった例があります。
(3)押印せずに送る
雇用契約書を郵送する際には、契約印を押さずに送るようにしましょう。
通常の契約書であれば、以下のような流れをします。
雇用契約書や売買契約書の場合には、金銭のやり取りがある契約であるため、「金銭を受けとる側=被雇用者」が先に押印しますが、秘密保持契約などは、事前に押印してから送付するのが一般的なので、混同に注意しましょう。
(4)折らずにクリアファイルに入れる
契約書をはじめ、法人関連書類には保管期間があるため、一般的には折らずにクリアファイルに入れるようにしましょう。
契約書が複数枚に分かる場合には、以下のように左側にホチキス留、製本化してから、送付するとよいです。
そもそも送付状は何故必要なのか?
送付状は、「誰に」「何を」「どれだけ」送ったのかを明らかにする目的で使用されるため、ビジネスシーンでは非常に有効です。
送付状に記載すべき項目とテンプレートをご用意いたしましたので、是非こちらも参考にしてください。
雇用契約書には契約書の割印と契印が必要?
雇用契約書には、「割印」や「契印」を押印しなくても法的には問題ございませんが、トラブル防止に役立つため、出来る限り押印するようにしましょう。
割印は、複数ある書類にまたがった位置に押印することによって、1つの印章がそれぞれの書類で「割れて押されている」印のことを指します。
契印とは、複数ページから構成される契約書を作成したのち、途中のページを差し替えたり、抜き出したりする不正行為を防止するために押印する印のことを指します。
割印と契印は似たような意味合いですが、目的が異なるため混合に注意していきましょう。
返送用封筒は会社用封筒を使うと便利
雇用契約書をはじめとした契約書を郵送・返送用として同封する際には、「会社用封筒」を使用するとコスト削減につながります。
会社用封筒とは、会社の住所やロゴなどが入った封筒ことを指し、封筒印刷会社などへ注文することで購入することが出来るものです。
会社用封筒の利用をお勧めする理由は、以下2点からです。
会社用封筒には、予め住所や社名が記載されているため、契約書郵送の際の記入工数を削減することが出来ます。
また、会社で使用する封筒を集約化・整理整頓することが出来るので、在庫管理が楽になります。
実際に封筒印刷所で角形2号封筒を注文した場合、以下のような見積もりになります。
通販で販売されている封筒とコスト比較しても、+3.2円ほどであるため、住所記入工数などを考慮するとコスト削減に貢献できるかもしれません。
枚数 | 単価 | |
通販 | 100 | 7円 |
封筒印刷 | 1000 | 10.2円 |
まとめ
いかがでしたでしょうか?
雇用契約書を郵送する際のマナーや書き方をきちんと理解して、不備なく業務をこなしていきましょう。
雇用契約書に限らず、納品書や請求書などにも社用封筒は便利ですので是非ご検討ください。